日本を訪れる外国人旅行客は、2015年度には2000万人を突破し、政府は2020年度には4000万人にする新目標を立てています。この目標を達成するためには、規制緩和とインフラ整備の両面で訪日外国人客の取り込みをはかる必要があるようです。
訪日外国人客にとっては母国語で日本を案内してもらえるガイドの需要は高いのですが、現在は有料で外国人向けの通訳ガイドを行うには通訳案内士という国家資格が必要です。ただ現状では、訪日外国人客の増加に伴い、通訳案内士の数は全く足りておらず、いわゆる資格を持たないヤミガイドが横行して問題にもなっています。
政府は、訪日外国人客数4000万人という目標に向けて、資格を持たない人でも有料で外国人客に対し通訳などのガイドができるように資格制度の規制緩和を行う方針を固めており、観光庁の検討会ではさらに詳細を詰め、2016年度中には法改正案を国会に提出する予定です。
この規制緩和によって何が変わるのか?
私はこの通訳案内士資格を英語で取りましたが、通訳案内士試験を受けるためには、語学試験以外にも地理や日本史・日本文化史、一般常識試験、日本の名所に関する逐語通訳試験、面接試験なども受けなくてはなりません。それゆえ留学生や海外から日本に来て帰化された方々にとっては難関の試験であり、語学力があっても資格が取れないということが多々ありました。 今後この資格制度の規制緩和が行われることになれば、無資格でもガイドできることになります。 規制緩和によって、さまざまな可能性が考えられますが、例えば、滋賀県在住の外国人留学生も有料でガイドができるようになり、リーズナブルな料金でガイドを雇うことができるようになります。但し、無資格のガイドとなると、通訳案内士のような研修制度もないので、不法な斡旋を行うような悪質なガイドも出てくる可能性もあります。
近江ツーリズムボードの役割
まだ法案が通過していない状態なので、今後この規制緩和に関してどういう安全対策が行われるのかはわかりませんが、近江ツーリズムボードとしては、彦根市内の大学と連携して安全な外国語ガイドを紹介できる窓口となったり、彦根市、米原市、愛荘町、豊郷町、甲良町、多賀町の魅力を発信していただけるよう研修制度を設けるなど、情報発信基地としての役割を提案をしていきたいと思っております。