5月27日(金)、彦根商工会議所4階大ホールにおいて、須田健太郎さんを講師に迎え「インバウンド×アントレプレナー講演会」が行われました。演題は「近江のファンを世界に広げ、近江の元気の原動力とするためには」。OTBウェブマガジンで、3回に分けて連載します。Part 1はこちら Part 2はこちら
FREEPLUSのこれから
垂直統合
今後、FREEPLUSはどんなビジネスをやっていくのか。 世界のGDPの推移と世界の人々が海外旅行に行く人数は同じように変動している。GDPに連動して、外国に旅行をする人は増え続けている。世界の旅行マーケットは成長基調にあり、かつアジアのマーケットは拡大傾向にある。日本のマーケットも拡大している。 国別の外国人観光客の受入人数では、1位は約8400万人を受け入れているフランス、2位の米国は約7500万人を受け入れている。日本は外国人観光客が増えたといわれているが、世界トップテンと比べると伸びていない。 観光収入は、1位はアメリカで約20兆円。フランスは観光客の滞在が短く観光収入は約7兆円。日本は昨年3・4兆円の観光収入に対して、約2000万人の外国人観光客が訪れている。もし日本が、1億1700万人の外国人観光客を受け入れることができれば、アメリカ位に稼ぐことができる。フランスは、人口よりも多い8400万人を受け入れているので、1億1700万人という数は、理論的には可能だ。 世界のトップテンの観光収入を平均すると7兆円である。日本が7兆円稼ぐためには、4100万人の外国人観光客の受け入れが必要となる。政府が掲げる目標「2020年に4000万人」の数値は達成可能な範囲にあるといえる。そして「2030年には6000万人」と政府が目標値を発表しているが、決して無理な数字ではない。 この成長マーケットで、FREEPLUSは「訪日観光業を牛耳っていく」。 訪日旅行事業や国内旅行事業、移動交通機関は、昔からあるビジネスだが、FREEPLUSは訪日観光産業に特化して、垂直に統合することによって、他社が真似の出来ない、参入不可能なビジネスモデルを創ることを目指している。訪日旅行事業をメインに移動交通機関や海外の旅行店舗の展開をするこのビジネスモデルを「訪日観光産業の垂直統合」と名付けている。 実際FREEPLUSは既に大型バス5台を所有している(運行はバス会社に委託)。多い時には1日100台程のバスを貸し切ってツアーを運行しているFREEPLUSにとっては、確実に伸びる事業なのだ。 更に、国外の B to B、国内で企業向けインバウンドのリサーチ、国内の自治体向けのサービス=JAPAN TIMELINE。海外の一般客向けの旅行サービス=GUIDEST、国内と海外のインバウンドの旅行会社向け飲食店予約システム=JAPARESなど、全領域で訪日観光市場を抑えていく事業戦略をもっている。
起業家のマインド
「優秀」という定義は様々だが、会社創業期に求める「優秀」な人材と、年商40億円規模の会社が求めている「優秀」、1000億企業の求める「優秀」は全く異なっている。 創業期に求める「優秀」は、一人で何でもできる人材だ。海外出張しながら営業し、自分で見積を作り、ツアーを受注すれば自分でホテルを予約し、自分でツアーガイドもこなす。管理本部に精算の報告をし、入金チェックをするなど、全て器用にできる人が創業期における優秀な人材だ。会社が大きくなると、プロフェッショナリズムが大切になってくる。1000億円企業になると、「優秀」どころか、それぞれの部門のトップに立つ人材は各分野の専門家でなければならない。領域が変わってくるのだ。 FREEPLUSの場合、絶対に世界企業を創るという須田さんの念いには誰も勝てない。これが創業者がもつべき強い意志であり、意志があれば、優秀な人材は集まってくる。優秀だから会社が創れるわけではない。執念だけで会社が成長するわけでもない。自分がどんな領域を目指しているのかをよく考える必要がある。 もしもインバウンドへの参入を考え「近江のファンを世界に広げ、近江の元気の原動力になりたい!」と思うなら、とにかく明日から海外に行ってしまうことだ。これは、彦根の人がやらなければならない。まずは自分の耳で聞く、自分の目で感じることが一番大切である。本当に航空券を予約して行く。そういうことが非常に重要だ。 国は本気で観光立国を実現しようとしているので、外国人観光客の誘客のために、驚くべきスピードで規制を緩和し、様々な施策を実施している。国や自治体はビジネスの場を提供してくれているのだ。そういう環境にありながら、企業が何もやらなかったら、全く意味がない。起業を考えておられる方、是非、起業していただきたい。 起業し事業をもって、近江を元気にする。非常に力強いことだ。お金もうけだけではなく、どうやったら近江のファンが増えるのか、どうやったら近江を元気にできるのか、という使命をもって、ぜひスタートしていただければと願っている。 最後に、FREEPLUSは自分たちを旅行会社とは思ってはいない。理念と使命を追求するための手段が、事業である。事業戦略として最初にスタートさせたのが訪日旅行事業なのだ。