昨年4月に近江ツーリズムボードがDMO候補法人として登録されてから1年以上が経過しました。解決すべき課題はまだ数多くありますが、今後は、組織としてDMO候補法人の「候補」を外し、正式な日本版DMO法人となることが求められます。 正式な日本版DMO法人となるための具体的な要件は現段階では明らかにされておりませんが、候補法人として登録される際に求められた5つの要件については、当然のこととして確実に実施をしていく必要があります。 以下がその5つの要件です。
1. 日本版DMOを中心として観光地域づくりを行うことについての多様な関係者の合意形成
- 取締役、理事など日本版DMOの意思決定に関与できる立場で行政、文化、スポーツ、農林漁業、交通等の幅広い分野の関係団体の代表者が参画すること
- 日本版DMOの組織内に行政や関係団体をメンバーとするワーキング グループなどの委員会等を設置すること
- 日本版DMOが行う取組に関する連絡調整を行うため、行政や関係団体から構成される協議会等をDMOとは別に設置すること
- その他、関係者の合意形成が有効に行われる仕組みが存在すること
2. 各種データ等の継続的な収集・分析、データ等に基づく明確なコンセプトに基づいた戦略(ブランディング)の策定、KPIの設定・PDCAサイクルの確立
- 各種データ等の継続的な収集・分析
- データに基づく明確なコンセプトに基づいた戦略の策定(地方公共団体が策定する観光振興計画が存在する場合は、当該計画と戦略との整合性が留意され、当該計画の策定・見直し等への関与がなされること)
- KPIの設定(少なくとも旅行消費額、延べ宿泊者数、来訪者満足度、リピーター率の4項目については必須とする。この他に各日本版DMOが独自にKPIを設定することも可能)・PDCAサイクルの確立
3. 関係者が実施する観光関連事業と戦略の整合性に関する調整・仕組み作り、プロモーション
- 地域社会とのコミュニケーション・地域の観光関連事業者への業務支援を通じて、戦略を多様な関係者間で共有すること
- 地域が観光客に提供するサービスについて、維持・向上・評価する仕組みや体制を構築すること
- 観光客に対して地域一体となって戦略に基づく一元的な情報発信・プ ロモーションを行うこと
4. 日本版DMOの組織
- 法人格を取得していること
- 意思決定の仕組みが構築されていること
※日本版DMOの業績について対外的に最終的な責任を負う者が明確化されていること - 専門人材が存在すること
※データ収集・分析等の専門人材(CMO:チーフ・マーケティング・オ フィサー 等)がDMO専従で最低一名存在していること又は確保す る予定であること
5. 安定的な運営資金の確保
- 日本版DMOが自律的・継続的に活動するための安定的な運営資金が確保される見通しがあること
以上のように、正式な日本版DMO法人となるためには、テクニカルな事項も含めて様々な条件が課せられております。その中でも、近江ツーリズムボードは地域連携DMOであることから、多様な関係者の合意形成という面で、構成する2市4町が密に連携して観光地域づくりを行っていくことが最も基礎的かつ重要な事項となります。 各市町が有する観光資源を極限まで磨き上げ、他の市町が磨き上げた観光資源と組み合わせることで、各市町の魅力から近江地域の魅力へと昇華させることができ、さらには、行政や観光関連業界だけでなく、様々な業種の方が市町の垣根を越えて積極的に意見を述べることにより、新たな観光資源の創出も可能となります。 観光地域づくりの主役は地域の住民であり、今後、正式な日本DMO法人として登録はもちろんのこと、近江地域の観光の魅力を更に向上させるためには、2市4町の会員皆様の市町・業種の垣根を越えた連携が必要不可欠となります。 事務局としましても、会員皆様のご意見を参考とし、今後とも積極的な組織運営を行って参りますので、些細なことでも構いませんので、引き続き、皆様のご意見・ご要望をお寄せいただけましたら幸いです。