お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣氏が書いたビジネス書『魔法のコンパス』(主婦と生活社)が話題になっている。西野氏は1999年に梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。その後フジテレビの人気番組「はねるのトびら」などに出演し、テレビでの仕事が絶好調だったにも関わらず、“自分を進化させるため”レギュラー番組以外のテレビの仕事をすべて辞めるという選択をし、絵本の執筆活動を開始した。3冊目に出版した絵本『えんとつ町のプペル』は発売1か月もたたないうちにアマゾンの絵本ランキングで1位を獲得。
その他にも、クリエイター顔負けの「街づくり企画」、「世界一楽しい学校作り」など未来を見据えたエンタメを生み出し、注目を集めている。
その戦略は近江エリアの認知度をあげるためのヒントになりはしないだろうか。
人は「未知の体験」よりも「すでに頭の中にインプットされているイメージの確認作業」をしたがる。 テレビなどでも話題になった千葉県の「濃溝(のうみぞ)の滝」は、たった1枚の写真がインスタグラムから火が付き、まるでジブリの世界みたいだという評判から連日多くの人が殺到するようになった。
たった1枚の美しい写真に火かつくだけで、人はその写真通りのイメージ(頭にインプットしたイメージ)を確認するために、どんなに遠くても、不便なところでも、レストランがなくても、駐車場がなくても、やってくる。
美しい情報が頭の中にいったんインプットされると、どうしてもそれを実際に見て確認せずにはいられないのだ。
近江(Ohmi)の認知度を広めていくためには、ユーザー数が6億人を超えたインスタグラムや10億人のユーザーがいるYoutubeに積極的にアプローチして、そこにアップする数を増やしていくことが必要である。
とにもかくにも近江(Ohmi)という場所の存在をまずは知ってもらうこと、インバウンド旅行者の頭の中に近江エリアの映像やイメージをインプットしていくことが最優先である。
但し「下手な鉄砲」を数撃てばいいのかというとそうではない。一億総批評家と言われるこのネット社会において、「下手な鉄砲」をやたらと数撃つことは、近江エリアにとってマイナスのイメージを作ってしまうことになりかねない。
近江エリアに来てみたくなるような「良質なもの」「良質なイメージ」でPRしていかなくては意味がないのだ。人の心の奥深くに響くような良質な弾を見つけ出し、できるだけ多く撃っていくことで、このエリアのイメージと認知度を高めていくこと。それが近江ツーリズムボードの大きな役割の1つなのかもしれない。