Newsニュース

2020.06.02

令和元年度 彦根市観光満足度調査速報

令和元年度に一般社団法人近江ツーリズムボードが実施した「彦根市観光客満足度調査」の速報を公開。彦根市内観光エリア4箇所に調査ポイントを設定し、彦根市を訪れた日本人および外国人観光客にランダムでアンケート調査を実施した結果、日本人796名、外国人73名分のサンプルを得ることができた。本調査は平成 21年度に観光庁により全国50地域を対象に実施された「観光地の魅力向上にけた評価手法調査事業報告書」で実施されたアンケート票を使用し、アウトプットを揃えることで彦根市以外の50都市とレベル感を比較することが可能となっている。観光入込客数や宿泊客数、外国人観光客数など彦根市が見習うべき観光先進都市と比較することで彦根市の課題を推察することができる他、客観的に見た彦根市の打ち出すべき魅力を知ることも期待できる。観光庁の調査では最も多い地域のサンプル数で631であることから、今回の彦根市調査では更に精度の高いサンプル数が集まったと考えられる。今回はこの調査結果を元に各項目について考察し、彦根市観光の方向性について検証する。

12の中小都市との観光満足度の比較

観光庁調査の対象地域分類に基づくと、彦根市は中小都市に位置付けられる。この中には、川越、飛騨高山、長浜、松江市など彦根市と同様に文化歴史資源を観光に活かしている都市も含まれている。
彦根市及び12の中小都市の観光満足度調査結果は次のとおりである。3指標とも昨年度より向上した。13都市での順位を見ると、彦根市は、総合満足度は5位、紹介意向4位、再来訪意向1位となり、いずれも11都市の平均を上回り、日本を代表する中小都市であるといえる。但し、今年度の調査日の1日がキャラ博だったことにも留意する必要がある。
サービス品質で見ると、中小都市平均より明らかに上位にあるのは、「街並み景観」、「観光・文化施設の内容」、「観光・文化施設の従業員のおもてなし」である。一方、明らかに低位にあるのは、「宿泊施設の部屋の質」、「宿泊施設の授業員のおもてなし」、「費用対効果」である。

日本人観光客の特徴

日本人観光客の特徴としては、滋賀県、愛知県、岐阜県、京都府、大阪府など概ね2時間圏の近県からの観光客が約5割を占めている。
3回以上のリピーターが約45%と、近県から四季のイベントを楽しみに繰り返し訪れる観光地となっている。一方、約40%が初訪問者であることにも留意する必要がある。彦根城、彦根城博物館、玄宮園を代表とする歴史文化資源が彦根の最大の観光資源であるが、季節のイベントやひこにゃん、食事とを合わせて来訪される方が多く、20代から70代まで、家族連れからカップル、団体客まで幅広い客層を集めている。
今年度の彦根の総合満足度は5.78と昨年から0.07ポイント向上した。観光庁調査(平成21年度実施)の12の中小都市平均は5.75であり、それを上回る結果となった。昨年と比較するとほとんどの世代で軒並み満足度が上がった。
紹介意向は5.87(中小都市平均5.81)、再来訪意向は5.85(5.30)で、昨年度と比較して紹介意向は0.09ポイント、再来訪意向は0.79ポイント向上し、彦根を含めた13都市中、紹介意向は4位、再来訪意向は1位となった。今年度の調査日にはご当地キャラ博も含まれており、彦根好きな方が多かった点も否めないが、これまでの取組の成果が出ている。
彦根の満足度を最も満足度が高かった飛騨高山と比べると、「大変満足」や「ぜひ紹介したい」、「ぜひ再来訪したい」という割合が低い。近年の観光客が求めるのは、そこでしか得られない、その時にしか得られない「本物の感動」であり、彦根にはまだそのコンテンツが不足しているのではないだろうか。
サービス品質に関しても、多くの項目で評価が上がった。食事の内容、飲食店 店員のおもてなし、土産物・商品の内容の評価が大きく上がり、美食都市の効果も少しずつ出てきているのではないか。

外国人観光客の特徴

今年も想定以上の満足度が得られた。
外国人観光客は約9割が初めての訪問で、30代以下が約5割を占めている。日本人観光客は30代以下は約2割に過ぎず、若い層が多いことが特徴的である。国籍としては、欧米が多いのが特徴的である。1週間以上の長期滞在者が多く、日本をあちこち回っている姿が想像できる。
外国人観光客が彦根で楽しかったこととして高く評価したことは、彦根城を中心とした名所旧跡、自然・街並み景観、琵琶湖、街歩き、グルメである。日本人と大きく異なる点は、彦根城を中心とした名所旧跡、自然・街並み景観、琵琶湖への高い評価である。一方、ひこにゃんはあまり評価されていない。

彦根観光の満足度を高めるために

外国人の総合満足度、紹介意向は日本人観光客と比べてはるかに高いことが特筆される。外国人観光客の多くは個人客で既に日本各地を回った日本通が多いと推察され、初めての訪問となる彦根に対して高い満足度を示したことは、彦根が国際的に通用する観光地となる高いポテンシャルを持っていることを示唆している。
サービス品質の評価については、外国人観光客は,すべて6.0以上と高い評価を示した。特に、自然景観、観光施設 従業員のおもてなしに対する評価が高い。 これらの結果から今後注目すべきポイントは次の通りである。

  1. 本物を感じるプログラムの開発と発展
  2. 近江「美食都市」プロジェクトの発展
  3. インバウンドプロモーション
  4. 駅から彦根城、彦根城下アクセスの改善
  5. 彦根城下町ミュージアムの検討
  6. 感染症対策の徹底