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2019.06.04

平成30年度 彦根市観光満足度調査速報

平成30年度に一般社団法人近江ツーリズムボードが実施した「彦根市観光客満足度調査」の速報を公開。彦根市内観光エリア4箇所に調査ポイントを設定し、彦根市を訪れた日本人および外国人観光客にランダムでアンケート調査を実施した結果、日本人738名、外国人174名分のサンプルを得ることができた。本調査は平成 21年度に観光庁により全国50地域を対象に実施された「観光地の魅力向上にけた評価手法調査事業報告書」で実施されたアンケート票を使用し、アウトプットを揃えることで彦根市以外の50都市とレベル感を比較することが可能となっている。観光入込客数や宿泊客数、外国人観光客数など彦根市が見習うべき観光先進都市と比較することで彦根市の課題を推察することができる他、客観的に見た彦根市の打ち出すべき魅力を知ることも期待できる。観光庁の調査では最も多い地域のサンプル数で631であることから、今回の彦根市調査では更に精度の高いサンプル数が集まったと考えられる。今回はこの調査結果を元に各項目について考察し、彦根市観光の方向性について検証する。

12の中小都市との観光満足度の比較

観光庁調査の対象地域分類に基づくと、彦根市は中小都市に位置付けられる。この中には、川越、飛騨高山、長浜、松江市など彦根市と同様に文化歴史資源を観光に活かしている都市も含まれている。
彦根市及び12の中小都市の観光満足度調査結果は次のとおりである。3指標とも昨年度より低下し、13都市での順位を見ると、彦根市は、総合満足度は9位、紹介意向、再来訪意向は11位と平均以下の低位に甘んじており、改善の余地は大きい。
サービス品質で見ると、中小都市平均より明らかに上位にあるのは、「街並み景観」、「観光・文化施設の内容」、「観光・文化施設の従業員のおもてなし」である。一方、明らかに低位にあるのは、「宿泊施設の部屋の質」、「宿泊施設の授業員のおもてなし」、「費用対効果」である。

日本人観光客の特徴

日本人観光客の特徴としては、滋賀県、愛知県、岐阜県、京都府、大阪府など概ね2時間圏の近県からの観光客が約5割を占めている。
3回以上のリピーターが約4割で、近県から四季のイベントを楽しみに繰り返し訪れる観光地となっている。一方、約5割が初訪問者であることにも留意する必要がある。彦根城、彦根城博物館、玄宮園を代表とする歴史文化資源が彦根の最大の観光資源であるが、季節のイベントやひこにゃん、食事とを合わせて来訪される方が多く、20代から70代まで、家族連れからカップル、団体客まで幅広い客層を集めている。
今年度の彦根の総合満足度は5.71と昨年から0.07ポイント低下した。観光庁調査(平成21年度実施)の12の中小都市平均は5.75であり、それを下回る結果となった。昨年と比較するとほとんどの世代で軒並み満足度が下がった。昨年度は「国宝・彦根城築城410年祭」やNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」があり、さまざまなイベントや展示、大河ドラマの舞台を見る感激があったかと思われるが、今年はその効果がなくなった。
紹介意向は5.78(中小都市平均5.81)、再来訪意向は5.06(5.30)で、昨年度と比較して紹介意向は0.11ポイント、再来訪意向は0.06ポイント低下し、紹介意向、再来訪意向とも彦根を含めた13都市中11位という低位にとどまった。
彦根の満足度を最も満足度が高かった飛騨高山と比べると、「大変満足」や「ぜひ紹介したい」、「ぜひ再来訪したい」という割合が低い。近年の観光客が求めるのは、そこでしか得られない、その時にしか得られない「本物の感動」であり、彦根にはまだそのコンテンツが不足しているのではないだろうか。
サービス品質に関しても、多くの項目で評価が下がった。食事の内容や土産物・商品の内容の評価が下がったことが気にかかる。美食都市の効果はまだ見られない。一方、宿泊施設の評価が上がったことは評価される。

外国人観光客の特徴

今年も想定以上の満足度が得られた。中国系と欧米系でプロフィールや満足度に違いも見られる。
台湾、中国、香港の観光客は、関西空港、中部空港から入出国し、4~6泊の日本滞在中に日帰りもしくは1泊で彦根に来訪する方が多い。3/4が個人客である。
欧米の観光客は、成田、関西、中部空港から入出国し、1週間以上の長期で日本を旅行し、わざわざそのうち1泊を彦根で過ごし市内観光を楽しむ観光客がいる。ほぼ全員個人旅行である。
外国人観光客は約8割が初めての訪問で、30代以下が約6割を占めている。日本人観光客は30代以下は約2割に過ぎず、若い層が多いことが特徴的である。
外国人観光客が彦根で期待する楽しみは、彦根城を中心とした名所旧跡、街歩き、おいしいものを食べること、自然景観、買い物である。中国系はひこにゃんに会うことの割合が高い。欧米系はより文化体験を期待している。

彦根観光の満足度を高めるために

外国人の満足度は日本人観光客と比べてはるかに高いことが特筆される。外国人観光客の多くは個人客で既に日本各地を回った日本通が多いと推察され、初めての訪問となる彦根に対して高い満足度を示したことは、彦根が国際的に通用する観光地となる高いポテンシャルを持っていることを暗示させる。中国系観光客に至っては、紹介意向、再来訪意向とも日本人観光客を凌ぎ、リピーターになってくれる可能性が高い。
サービス品質の評価については一部で日本人観光客と異なる評価を示した。外国人観光客は、観光施設、物販施設や飲食店のおもてなしには高い評価を示した。
これらの結果から今後注目すべきポイントは次の通りである。

  1. 本物を感じるプログラムの開発と発展
  2. 近江「美食都市」プロジェクトの発展
  3. インバウンドプロモーション
  4. 駅から彦根城、彦根城下アクセスの改善
  5. 彦根城下町ミュージアムの検討