内閣府では、平成27年度補正として、一億総活躍社会の実現に向けた緊急対応として、「希望を生み出す強い経済」を実現するため、また、「子育て支援」や「安心につながる社会保障」も含め「新・三本の矢」の取組に貢献するため、地方創生加速化交付金(1,000億円計上)を創設されました。地方版総合戦略に基づく各自治体の取組について、上乗せ交付金等での特徴的な事例も参考にしつつ、先駆性を高め、レベルアップの加速化を図るものとしています。
加速化交付金申請には、日本全国の都道府県市町村が応募し、申請事業数2,744件のうち、交付対象事業数は1,926件が採択され、今般彦根市、多賀町からの地域連携による申請も採択が決定いたしました。その事業引き受け団体として、日本版DMO候補法人登録が先般決定した当会が担うこととなり、今後域内ブランド価値の向上を目的に事業を展開してまいります。
会員の皆さまにもその効果が実感できるよう注力してまいりますので何卒ご協力の程よろしくお願いいたします。
主な申請内容
背景・課題
彦根市と多賀町は、周辺の3つの町とともに、「びわこ湖東路観光協議会」を構成し、協同での広報宣伝事業などに従来から取組んできたが、具体的なテーマに基づいた連携施策ではないため、広域連携のメリットを十分に活かせていなかった。
彦根市では、国宝彦根城の大名庭園で開催する「玄宮園で虫の音を聞く会」や「彦根城錦秋のライトアップ」など、ライトアップイベントも行われてきたが、明確なブランド戦略がないため、発信力に欠け、誘客後の市内周遊と観光消費増加には必ずしも繋がらない取組みとなっているのが現状である。 また多賀町においては、年間約170万人の観光入込客数を誇る多賀大社があるが正月のある1月に約半数が集中しており、年間を通じた誘客に活かしきれていないため、門前町の商店街は衰退している状態である。
このように、彦根市と多賀町において、これまでになかった新規性・将来性・地域性・直接性を兼ね備えた一点突破の取り組みが必要とされている中で、平成27年9月30日、彦根市、近江八幡市、米原市、愛荘町、甲良町、豊郷町、多賀町の3市4町の商工会議所・商工会が中心となって着地型観光広域連携プラットフォーム組織「近江インバウンド推進協議会」(以降、協議会)を設立した。協議会では地域連携DMO(観光庁の日本版DMO認定申請中、4月以降法人化(一般社団法人近江ツーリズムボード))として、観光誘客による域内の「人口減」「地域経済の沈滞」の解決を目指し、海外エージェントとのBtoB交渉等の海外ミッション、体験型観光の企画・開発・推進、宿泊型観光誘致取り込みを目指したイベント運営・協力、独自性のある観光ルートの整備、戦略的ターゲットを見据えたマーケットインの収益事業(旅行斡旋、キッチンカーレンタル、空き町屋総ホテル計画等)など具体的な展開であるだけでなく事業性や発信力の高い事業プログラムの準備を進めている。
これまでになかったDMOという組織を機軸とした以上のような取組により、観光関連分野における雇用創出、交流人口の増加、まちの活性化を推進し、上記課題の解決を図っていこうとしているところであるが、これら課題は喫緊の課題であり、少しでも早い対応が必要である。しかし、地方の限りある財源の中、地方単独での促進には限度があり、さらに広域での取組をするにあたってはそれぞれの市町の財政事情が影響し、調整に時間がかかってしまう現実がある。このような中、本交付金は財源の不安を解消し、連携へのハードルを下げ、今まさに動き出そうとしているDMOの動きの加速化、レベルアップを可能とするものであり、本地域のより良い将来の希望を生み出す起爆剤として必須のものである。
目的
- 当該エリアのコンスタントな通年交流人口と宿泊客数の増加を図り、平成32年の観光消費額を平成25年水準の1.5倍に引き上げることで、新規観光事業者の起業しやすい地域経済環境づくりを行う。
- 本事業の実施により、当該エリアの地域連携体制を深め、今後も様々な事業での連携を可能とする仕組み・ネットワークを創る。(次年度以降段階的に連携地域拡大を検討する。)
- 本事業で構築する地域ブランドにより、洗練されたライトアップイベントの実施や、地域の特色を活かした飲食や物産、旅行商品の創出、ワンストップ窓口サービスの開発等を行うことで、国内外に向けた魅力発信を行う。
- 地域住民と協働でまちのにぎわいを創出し、若者を始めとした住民の地域愛を創出することで、人口流出防止に留まらず、魅力ある地域としての移住促進を図る。
- 以上の個別の目的を達成することにより、連携地域(将来的には拡大)の活性化を実現し、将来における地域での『総活躍社会』、地方創生の実現を図る。
事業概要
事業テーマ及びコンセプト :「FUEKI RYU-KOU」ブランディング
「不易流行」‐いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中に、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと‐
本質的で普遍的な価値を有する国宝彦根城や多賀大社に、洗練されたデザイナーによるライティングという手法で新たな変化を与えることで、現代にふさわしい観光資源としてブランド化していく。
また、この本質的な価値に新たな変化を取り入れる「FUEKI RYU-KOU」ブランドを、当該エリアの地域ブランドとして活用することで、発信力の高い「食」や物産、サービスの開発に繋げていく。
さらに、彦根市と多賀町を繋ぐ近江鉄道グループとタイアップした事業展開を図ることで、ブランド化された観光素材を有機的に結びつけた着地型旅行商品の造成を図っていく。
誘客には戦略的にWEBを活用して発信する他、ブランド化された彦根と多賀ワンセットのバリアフリープロモーションで、国内外の旅行エージェント、近江インバウンド推進協議会メンバー企業のネットワーク、びわこビジターズビューロー、大阪観光局との連携を図る。
また受入環境として、ワンストップ窓口の設置だけでなく、観光施設(約30施設)、宿泊施設(34施設)、飲食店(約200店舗)、観光関連小売店(約200店舗)へのマーケティング情報の提供と商品開発のコーディネートを行い、エリア内の周遊観光に対応した体制を構築して、観光消費額の増加を図るとともに、来訪者への「FUEKI RYU-KOU」のブランドイメージ定着化を図り、イベント開催時以外も含め年間を通したコンスタントな誘客を促進する。