2016.11.28

Light & Art “Dramatic Legacy”

何故、ライトアップイベントなのか!!

 「歴史遺産で発信する物語 Light & Art Dramatic Legacy」は2017年3月まで続くが、彦根城内ライトアップは年末まで、多賀大社(絵馬通り、胡宮神社、大瀧神社、高源寺)は今月11月30日で一旦終了となる。
 何故、ライトアップイベントなのか!! 改めて考察してみることにする。

「城あかり」佐和口多聞櫓。井伊家橘の家紋と青海波が映し出され、夜の記念写真スポットとなっている。

 現在、様々な光源の登場により、世界のパブリックデザインが激変していることは周知だろう。季節や日時によって自由に変化させることができる現代の照明技術は、賑わいづくりやランドマークとして大きな役割を果すようになった。ライトアップとは何かという問いに、多賀のライトアップを手掛けたライティングデザイナー長町志穂さんは、「あかりの仕事の最大の魅力は『以前からあったもの』をもっと魅力的にできることです。ライティングを整えることで、その『価値が再認識され』、全く『新たな価値』を持つことができます。古建築や土木構造物のライトアップ、リノベーションやリユース(再利用)もデザイン次第で大きく変わります。デザインという仕事の多くは、新たなものを創ることなのですが、ライティングデザインは、何も新たに創らないけれど全く新しく生まれかわるように『第二の命を吹き込む』ことができるのです」と解答する。そのためには本当に美しいカタチをつくる必要がある。そして、そのためにはライティングのプロフェッショナルの力を借りなければならない。
 そして、一時的な集客のためではなく、『日常的に賑わいをつくる』、『安全安心な都市そのもの』としての魅力を高めるためにライトアップを活用する。光のイベントなら何処ででもできるが、この点がとても重要なのである。
 光で都市を活性化しようとしている国々は多い。「光のまちづくり」に取り組む都市の国際ネットワークが「LUCI(ルーシー)」(LUCI:Lighting Urban Community International)には、リヨン、パリ、ミラノなど60都市が加盟し、日本では初めて大阪府と大阪市でつくる「光のまちづくり企画推進委員会」が加盟しているが、そこで議論されているのは、光のイベントと共に都市の日常的な夜間景観整備なのである。近年、日本の各都市においても「居住住民の快適性や安全安心の確保」のために、或いは「滞在型観光」を目指して夜間景観の整備が積極的に行われている。
 「歴史遺産で発信する物語 Light & Art Dramatic Legacy」も、歴史遺産に光をあて新しい命を吹き込む一過性のイベントではなく、恒常的な夜間景観の整備へのスタートでなければならない。
 また、恒常的な夜間景観の整備は都市のブランド力を高めるひとつの手段でもあるのだ。夜間景観の整備が積極的に行われることで、新しい魅力を得ることができ、また、夜間の安全安心な暮らしに配慮した整備は都市として大きな価値を生むと考えられるからだ。
 リヨン(人口約50万人)はローマ時代から栄え、2000年以上の歴史を誇るフランス第2の大都市である。かつての基幹産業は伝統的な絹織物で繊維産業の都市というイメージだが、「美食の都」「絹の街」「金融の街」「ハイテクの街」など様々な称号を持ち、近年はライトアップの先進都市として世界の注目を集めている。
 リヨンにおける夜の景観デザインの創造は1989年、市長の指揮のもと「The City at Night」をテーマに始まった。歴史的建造物を美しく、かつ芸術的にライトアップする計画を立ち上げたのだ。特にリヨン旧市街、フルヴィエールの丘などの中心地区がユネスコ「世界文化遺産」に指定され、都市景観の美化やイルミネーションの一層の充実が図られることになった。歴史地区の建造物や、新市街にある公共建築、最新のランドマークなど、都心にある主要な建造物を選び、毎年10〜25件ほどのライトアップを実施、継続した結果、現在では300カ所以上が常設のライティングの対象になっている。また、日常的な公共建築へのライトアップに加え、12月8日から4日間にわたって開催される「ルミエール祭(Fête des Lumières)」は世界で最も美しい光の祭典のひとつに数えられ、欧州各地から毎年300万人〜500万人を集客するフェスティバルとなっている。ルミエール祭最先端の夜景創出だけでなく、歴史に根ざした取り組みであるところが素晴らしいのである。
 「歴史遺産で発信する物語 Light & Art Dramatic Legacy」も、少なくとも夜の都市景観の創出を3年から5年のスキームで考える必要があるのではないだろうか。

(参考:彦根商工会議所通信2014年7月号 長町志穂氏インタビュー・2015年1月号橋爪伸也氏インタビューより)

「城あかり」彦根城大手門。表門から大手門の3段の石垣がライトアップされている

多賀大社ライトアップ

AUN-J CLASSIC ORCHESTRA(2016.10.7)@金亀公園 多目的競技場。前田鎌利さんの揮毫パフォーマンス

AUN-J CLASSIC ORCHESTRA(2016.10.6)@多賀大社

NADESHIKO J ENSEMBLE(2016.10.14)@玄宮園

NADESHIKO J ENSEMBLE(2016.10.15)@多賀大社。多賀座とのワークショップ

井伊家ブランドのアーティストと滋賀の歌姫によるチャレンジコンサート(2016.10.30)@彦根城博物館 能舞台

剱伎衆かむゐ サムライ・ソード・パフォーマンス(2016.10.30)@彦根城二の丸駐車場特設ステージ。前田鎌利さんの揮毫パフォーマンス

大瀧神社ライトアップ

胡宮神社ライトアップ

高源寺ライトアップ