2018.06.14

彦根市観光満足度調査速報

 平成29年度に一般社団法人近江ツーリズムボードが実施した「彦根市観光客満足度調査」の速報を公開。彦根市内観光エリア4箇所に調査ポイントを設定し、彦根市を訪れた日本人観光客にランダムでアンケート調査を実施した結果、706枚のサンプルを得ることができた。また、29年度では彦根ホテル旅館組合会員宿泊施設の協力を得て、彦根市で初めてとなる外国人観光客を対象とした満足度調査も実施。本調査は平成 21年度に観光庁により全国50地域を対象に実施された「観光地の魅力向上にけた評価手法調査事業報告書」で実施されたアンケート票を使用し、アウトプットを揃えることで彦根市以外の50都市とレベル感を比較することが可能となっている。観光入込客数や宿泊客数、外国人観光客数など彦根市が見習うべき観光先進都市と比較することで彦根市の課題を推察することができる他、客観的に見た彦根市の打ち出すべき魅力を知ることも期待できる。今回は平成28年度に引き続いての実施であることから経年比較も可能となった。観光庁の調査では最も多い地域のサンプル数で631であることから、今回の彦根市調査では更に精度の高いサンプル数が集まったと考えられる。今回はこの調査結果を元に各項目について考察し、彦根市観光の方向性について検証する。

12の中小都市との観光満足度の比較

 観光庁調査の対象地域分類に基づくと、彦根市は中小都市に位置付けられる。この中には、川越、飛騨高山、長浜、松江市など彦根市と同様に文化歴史資源を観光に活かしている都市も含まれている。彦根市及び12の中小都市の観光満足度調査結果は表1のとおりである。3指標とも前回より上昇したものの、13都市での順位を見ると、彦根市は、紹介意向は4位と高まったが、総合満足度は7位、再来訪意向は11位と依然低位に甘んじており、改善の余地は大きい。
 サービス品質で見ると、中小都市平均より明らかに上位にあるのは、「街並み景観」、「観光・文化施設の内容」、「観光・文化施設の従業員のおもてなし」である。一方、低位にあるのは、「宿泊施設の部屋の質」、「宿泊施設の授業員のおもてなし」、「費用対効果」である。

日本人観光客の特徴

 日本人観光客の特徴としては、滋賀県、愛知県、京都府、大阪府など概ね2時間圏の近県からの観光客が約5割を占めている。前回は約7割だったが、静岡県からの観光客が増えるなど今回は「国宝・彦根城築城410年祭」やNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の影響で広範囲からの集客につながった。3回以上のリピーターが約4割で、近県から四季のイベントを楽しみに繰り返し訪れる観光地となっている。一方、約5割が初訪問者であることにも留意する必要がある。彦根城、彦根城博物館、玄宮園を代表とする歴史文化資源が彦根の最大の観光資源であるが、季節のイベントやひこにゃん、食事とを合わせて来訪される方が多く、20代から70代まで、家族連れからカップル、団体客まで幅広い客層を集めている。
 今回の彦根の総合満足度は5.78と前回から0.03ポイント上昇した。観光庁調査(平成21年度実施)の12の中小都市平均は5.75であり、それを上回る結果となった。総合満足度上昇の要因は、40代以上の方の満足度の上昇である。これらの層は大河ドラマの視聴層とも重なり、歴史文化関連のイベントや展示の充実が寄与したと考えられる。一方、若い層の満足度が低下したことは大きな課題である。シニア向け観光地化しつつあると言える。
 紹介意向は5.89(中小都市平均5.81)、再来訪意向は5.12(5.30)で、昨年度と比較して紹介意向は0.07ポイント、再来訪意向は0.01ポイント上昇したが、再来訪意向は依然12都市平均よりも低く、彦根を含めた13都市中11位という低位にとどまった。一定程度の満足度は得ているものの再来訪意向は低位という所に、彦根観光経営の課題がある。
 彦根の満足度と最も満足度が高かった飛騨高山とを比べると、「大変満足」や「ぜひ紹介したい」、「ぜひ再来訪したい」という割合が低い。近年の観光客が求めるのは、そこでしか得られない、その時にしか得られない「本物の感動」であり、彦根にはまだそのコンテンツが不足しているのではないだろうか。

外国人観光客の特徴

 今回初めて実施した外国人観光客の満足度調査であるが、想定以上の満足度が得られた。中国語圏と英語圏観光客でプロフィールや満足度に違いも見られる。台湾、中国、香港の観光客(中国語回答者)は、関西空港、中部空港から入出国し、4~6泊の日本滞在中に1泊で彦根に来訪する方が多い。1泊朝発という彦根市内を観光しない方も約4割いるが、約6割は彦根観光を楽しんでいる。3泊以上滞在する方も23%いる。ツアー客の割合も約4割いることから、ツアー客はほぼ通過宿泊地としての滞在、個人客は彦根観光客と言えるだろう。シンガポールや欧米の観光客(英語回答者)は、成田、関西、中部空港から入出国し、1週間以上の長期で日本を旅行し、わざわざそのうち1泊を彦根で過ごし市内観光を楽しむ観光客である。ほぼ全員個人旅行である。外国人観光客は約9割が初めての訪問で、30代以下が約5割を占めている。日本人観光客は30代以下は約2割に過ぎず、若い層が多いことが特徴的である。外国人観光客が彦根で期待する楽しみは、彦根城を中心とした名所旧跡、街歩き、おいしいものを食べること、自然景観、買い物である。英語回答者はより街歩き、自然景観、文化体験を期待している。
 今回初めて実施した外国人満足度調査は、今後の彦根の観光を考える際の重要なデータを提供した。まず、外国人の満足度は日本人観光客と比べてはるかに高いことが特筆される。外国人観光客の多くは個人客で既に日本各地を回った日本通が多いと推察され、初めての訪問となる彦根に対して高い満足度を示したことは、彦根が国際的に通用する観光地となる高いポテンシャルを持っていることを暗示させる。中国語回答者に至っては、紹介意向、再来訪意向とも日本人観光客を凌ぎ、リピーターになってくれる可能性が高い。
 サービス品質の評価については一部で日本人観光客と異なる評価を示した。外国人観光客は宿泊施設の部屋の質、おもてなし、物販施設や飲食店のおもてなしには高い評価を示した。英語回答者は街並みの景観や観光施設・体験の内容については低い評価を示した。

彦根観光の満足度を高めるために

 今回初めて実施した外国人満足度調査は、今後の彦根の観光を考える際の重要なデータを提供した。
 まず、外国人の満足度は日本人観光客と比べてはるかに高いことが特筆される。外国人観光客の多くは個人客で既に日本各地を回った日本通が多いと推察され、初めての訪問となる彦根に対して高い満足度を示したことは、彦根が国際的に通用する観光地となる高いポテンシャルを持っていることを暗示させる。中国語回答者に至っては、紹介意向、再来訪意向とも日本人観光客を凌ぎ、リピーターになってくれる可能性が高い。
 サービス品質の評価については一部で日本人観光客と異なる評価を示した。外国人観光客は宿泊施設の部屋の質、おもてなし、物販施設や飲食店のおもてなしには高い評価を示した。英語回答者は街並みの景観や観光施設・体験の内容については低い評価を示した。
これらの結果から今後注目すべきポイントは次の通りである。

  1. 本物を感じるプログラムの開発と発展
  2. 近江「美食都市」プロジェクトの発展
  3. インバウンドプロモーション
  4. 駅から彦根城、彦根城下アクセスの改善

 「彦根市観光に関する経済効果測定調査」最新版では、日帰り観光客の一人あたりの消費額が彦根城築城400年祭の平成19年を超える程に伸びたことで、日帰り客消費額が宿泊客消費額を抜き返し、彦根観光の付加価値の構図に変化が見られる。日帰り観光地、宿泊観光地として、各々の付加価値が切磋琢磨しているようにも見える。観光地としての付加価値を俯瞰して検証するのに、この満足度調査と経済効果測定調査を並べることは隠された重要な要素を洗い出すのに有効な手段となりうるだろう。