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2018.06.01

地域との連携が生む観光客の満足度

地元の教育機関とのさまざまな連携

地元の高校や大学など、さまざまな教育機関と連携できることが近江ツーリズムボードの大きな強みであり、今後の観光戦略の大きな鍵であると考えています。 近江ツーリズムボード主催で3月に開催された「ひこね梅あかり」イベントでは、地元の高校生たちによる連日の吹奏楽演奏が話題となり、ライトアップされた梅の美しさにさらなる華を添えてくれました。また昨年末オーストラリア・イナブラスクールの学生さんたちが来日した際には、地元の近江高等学校や近江学園高等学校の協力で高校生たちによる彦根城英語ガイドや金箔押し体験の英語通訳を通して交流を深め、近江高等学校とイナブラスクールの合同演奏コンサートでは多くのお客様に喜んでいただきました。 イナブラスクール側のアンケートでも「地元の高校生たちと交流できたのが一番楽しかった」という声が多くあがり、まさに訪れる側にとっても住んでいる側にとっても嬉しい「双方良し」の結果になったことは喜ばしいかぎりです。 このような地元の学生との交流を深めるプログラムのオペレーションができることは、地域と連携して活動をしているDMOだからこその強みであり、地元の高校や大学等の教育機関と連携した観光戦略を展開していくことは、観光という観点を越えて今後の地域づくりにおいても大きな可能性を秘めていると実感しています。 「ひこね梅あかり」や「イナブラスクール来日ツアー」だけでなく、昨年の滋賀大の授業「ひこねの旅を企画する」では講義や講評にも関わり、授業を通してさまざまな観光企画のアイデアや改善点を学生さんたちと一緒に見つけることもできました。また日本の高校、大学だけでなく、ミシガン州立大学日本センター(JCMU)と連携できることもインバウンド観光の発展のためには重要な鍵となります。

留学生の視点から見た湖東エリア

近江ツーリズムボードでは、昨年からミシガン州立大学の留学生をインターンシップとして受け入れ、留学生からの様々な声を参考意見として、より訪れやすい観光地づくりのために活用しています。 インターンシップ制度を通して、ミシガン州立大学の留学生に湖東エリアをPRする資料の英文校正や翻訳作業を手伝っていただく他にも、[湖東を観光する上で困ったこと・改善した方がいいと思う点]に関するヒアリングを行いました。 以下が主な声です。

ミシガン州立大学学生(約20名)に聞いた湖東観光で困ったこと

1.WIFI通信拠点がないので困る。

  日本全体を通してWIFI環境が弱いが、特に湖東エリアはWIFI環境が弱い。

2.街を歩いていても、英語での表記が少ないので不安。

  他の観光地に比べて湖東エリアの英語表記は圧倒的に少ない。

3.お店に入りたくても、英語が通じるかどうか/英語のメニューがあるかどうか不安。

  東京や京都では[英語メニューあります]と表示されているお店も多く、安心してお店に入りやすい。

4.日本独自の慣習でわからないことが多い

  (例)お通しって何?/レストランのお水やお茶は無料?/トイレのボタンが複雑すぎてわからない/靴を脱がなくてはいけない場所がわからない等。

実際に留学生にヒアリングをした結果、やはりまだまだ外国人にとっては不安を感じる部分が多いことに気づかされました。WIFI環境に関しては「WIFI環境がなく検索できなかったため、行きたいと思っていたお店に行くのを諦めた」と言う声もあり、街中の英語表記に関しては、他の観光地に比べても少ないという声が多くあがりました。

インバウンド受け入れ環境改善のための多言語化サービス ミシガン州立大学生へのヒアリング結果を受け、湖東エリアでは[街中の英語表記]や[メニュー翻訳]、[簡単な日本の慣習の説明]等をはじめ、インバウンド観光客が散策しやすい街づくりのために、まだまだ改善すべきことがあると感じました。 そこで、今年からは留学生と一緒に実際に飲食店をまわり、インバウンドの視点から必要と感じる英語表示やメニュー翻訳を手伝っていただき、さらにはお店に入ってから安心して英語でコミュニケーションができるように指さしで基本的な英語のコミュニケーションができるシートを作りました。 以下がその一例です。

スタッフからお客様用

  • 何名様ですか/How many people (are) in your party?
  • 喫煙席/禁煙席どちらになさいますか?/Would you like smoking or non-smoking?
  • お席に御案内いたします。Your table is ready. Please come this way.
  • ご注文はお決まりですか? Are you ready to order?
  • フォークかスプーンはお使いになりますか? Do you need a fork or spoon?

お客様からスタッフ用

  • お水/お茶をください。May I have a glass of water/ a cup of tea?
  • トイレはどこですか? Where is the restroom?
  • どのくらいの量ですか? How big is it?
  • お会計をお願いします  Check please.

留学生にとっての“住んでよし”の街づくり

ミシガン州立大学の留学生たちは、アメリカから日本に“訪れている”視点と、日本に“住んでいる”視点の両方を持ち合わせています。観光立国のコンセプトである「住んでよし訪れてよしの国づくり」を実現していくためには、「住んでいる」視点も「訪れている」視点も持ち合わせている留学生の声は大変貴重な意見であり、こうした留学生が日頃感じている声は、このエリアをより訪れやすく住みやすくし、この地域を旅する人たちの安心感、満足度を上げる道につながっていきます。

教育機関との協力体制

近江ツーリズムボードでは高校や大学等の教育機関と連携し、国際交流や文化交流というテーマを通して「住んでよし訪れてよし」の街づくりを展開しています。 こうした国際交流や文化交流は単なる観光客の増加や観光消費額の増加だけでなく、様々な効果を地域と観光客の双方にもたらすものであり、こうしたさまざまな波及効果をもたらす活動こそがDMOの意義の1つであると思います。 今後は、こうした教育機関や地元の住民、観光客との交流を近江ツーリズムボードの圏域である三市四町全域に広げていき、彦根市、米原市、近江八幡市、多賀町、豊郷町、甲良町、愛荘町のいたるところで国際交流や文化交流を通した双方良し、三方良しの地域づくりを展開し、観光という視点だけではなく、文化的な意味でも地域に還元できるエリアづくりに貢献していきたいと考えています。

英語メニュー設置の表示

前述したとおり、大勢の外国人観光客が、飲食店に入りたくても、英語が通じるか、英語のメニューがあるかという不安を抱えています。そうした不安を少しでも解消し、快適に滞在していただけるよう、近江ツーリズムボードでは「English Menu Available(英語メニューあります)」と表示したステッカーを作成し、圏域の飲食店で要望のある店舗様に無料で配布しています。是非とも積極的に御活用いただき、各店舗様の外国人観光客受入対策の一助となれましたら幸いです。ご希望の店舗様におかれましては、近江ツーリズムボードまで、お気軽にご連絡ください。