2017.04.21

平成28年度内閣府推進交付金事業

近江「美食都市」推進プロジェクト 総括

 美味しいものの無いまちには人は来ない!「近江ガストロノミックシティ構想」は、ガストロノミーによる集客力向上と地域経済活性化と地方創生の実現を目指すものである。交流人口の増加を図るのであれば、他地域との差別化、独自性、そこに行かなければ「観ることができない」、「感じることができない」、「味わうことができない」ものが必須である。また一方、マーケティングの観点から来訪者ニーズを把握し、期待感を持っていただけるプレゼンテーションが必要であることは言うまでもない。彦根は歴史伝統を基礎とした多くの魅力ある集客素材を有している。それに+1(プラスワン)の魅力創出に向けて近江「美食都市(ガストロノミックシティ)」推進プロジェクトは始まった。平成28年度から平成30年度にかけて彦根商工会議所と近江ツーリズムボードは協働し、地域経済活性化と住民の満足度を向上させるために、このプログラムを基に「美食都市に挑戦」し地方創生を加速化し推進していく。

平成28年度 実施事業

  • 農商工連携による地域食材の開発及び増産
  • 調理技術向上のための地域料理人への「セミナーの開催」(地域食材を使用)
  • 地域料理をアピールするための「フードフェアの開催」(イベントによる集客)
  • 地域特有の「フードスタイルの開発」(フードカー、仮設店などの研究と開発)

地域産品の発掘・調査

 専門家と連携し、地域食材のリストアップと地域食材発信ツールの制作を行った。
 彦根市周辺地域(彦根市、米原市、多賀町、甲良町、豊郷町、愛荘町等)の食材を整理・発信するために「近江ガストロノミー美食材マップ&カレンダー」を作成し、重点食材をピックアップ。29年度以降新たにピックアップする食材に関しても専門家と連携し、審査の上、随時「近江ガストロノミー美食材マップ&カレンダー」に加えていく。

近江ガストロノミー
美食材マップ&カレンダー

 「近江食材」とは、2市4町等で収穫され、美味しさはもちろん、販路の可能性、安定した生産体制も構築した食材を指し、地域性と収穫時期(旬)という2つの軸でピックアップして、マップ&カレンダーという形でとりまとめたものが「近江ガストロノミー美食材マップ&カレンダー」である。従来のグルメマップとの違いは、彦根周辺地域を一度は訪れてみたい場所へとブランディングするために、食材にフォーカスした点である。
 国内外へプロモーションするため、今後も食材を追加し、我々の地域にはすばらしい素材があり、それを調理する独自の方法が確立され、さらにはそれらを提供する魅力的な店舗も存在し、訪れたくなるといったストーリー性を感じていただけるものとしていく。

料理人のための 美食セミナー

南欧編 - 大阪ガス(株)DILIPA彦根 クッキングスタジオにて

 「近江食材」の可能性開発、調理開発と地域料理人育成のための料理セミナーの開催。調査中の「近江食材」を試験的に活用しながら、平成28年度は3回実施。29〜30年度は年間6回を目標に実施する。国内外で活躍する一流料理人と地域料理人との個別交流も促進させ、一流若手人材の育成、誘致、交流を活性化させる。

  • 南欧編 講師:太田哲雄氏 2017年2月6日(月)14:00〜16:30
  • 和食編 講師:石井 仁氏 2017年3月14日(火)14:00〜16:00
  • フレンチ編 講師:石井真介氏 2017年3月20日(月・祝)14:00〜16:30

フードカー

フードカー(3月4日清凉寺)

 フードカーは「食」による効果的な観光客誘致と市内観光消費の拡大による地域経済の活性化を目的としたもので、野外での食イベントに対応、歴史的景観と佇まいへの配慮、機能性(整備性)には高いレベルを求めた開発・製作となった。今回製作された3台のフードカーは平成28年度3月10日から26日にかけて開催された後述の「Dramatic Legacy + Dining 彦根 梅あかりと食の祭典」でデビューした。フードカーは「誰もが認める近江の地域食材「近江牛」メニューの出店を想定した鉄板焼き機能に特化したフードカー」「様々な食材に対応でき、スタンダードなメニューに対応可能なカフェ機能に特化したフードカー」「ドリンクメニューの提供に必要な設備が詰まったバー機能に特化したフードカー」の3台でそれぞれ機能が異なっている。
 清掃性、耐久性、デザイン性が最も優れているオールステンレス製を採用し、設計は飲食関係者が監修。出店者の導線・調理・提供・清掃など含めて理想的な仕様となっている。今後、この3台は近江ツーリズムボードがレンタルフードカーとして運用し、事業所や料理人の方を随時募集していくこととなる。現在、幅広い飲食業者の方に近江食材と共に利用いただけるよう条件整備などを行っている。

パブリックファニチャー

「梅あかり」とパブリックファニチャー

 パブリックファニチャーは、国内でも評価の高いプロダクトデザイン集団「intentionallies」がデザインを手がけ、彦根の歴史をテーマに唯一無二のコンセプトでオリジナルのファニチャーの製作を行った。今後、市内イベント等で皆が使用できる仕組みを作るべく、近江ツーリズムボードによって条件整備が行われている。担当デザイナーの海野典生氏はコンセプトをこう語る。
「存在を主張する事無く凛とした佇まいの家具。カップル、ファミリー、団体客そしてお一人様でも、老若男女どの属性にも親しみ易いベンチを提案します。暖かみのあるベンチは県産材や間伐材を用いて地元木工職人の手によって造られます。また、その家具は将来的にはインターネットでも購入可能であり、木工商材のショールームとしての機能も果たす上に、森林保全や伝統工芸技術継承、魅力的な景勝地体験装置として持続的な街づくりのプラットフォームを創造します。メインコンセプトは設置場所の文脈や彦根の環境を考慮し、日本・彦根の美しい所作をヒントにしています。」

Dramatic Legacy+Dining  彦根 梅あかりと食の祭典

「梅あかりスペシャルデー」 近江高校ステージ(3月18日)

 彦根城内にある、約400本の紅梅や白梅が咲き誇る梅林は、江戸時代には米蔵があった場所である。1950年、彦根城が新日本観光地百選に選ばれたのを記念してこの梅は植えられた。例年は3月下旬頃に見頃を迎え、関西でも指折りの梅の名所となっている。この彦根城の隠れた名所「梅林」を活用して、3月中旬から下旬の金土日曜日の夜、8日間にかけてライトアップデザイナー内原智史氏による梅林ライトアップとフードカーを活用した食の提供、食事をとるための先進的なパブリックファニチャーの設置が行われた。スペシャルデーの18日は来場者800名を記録し、期間中延べ2,148人の方にこの特別な梅林を楽しんでいただくことができた。

総括

 本事業では、交流人口を増加させるために必要な要素「食」の魅力を向上させるためのプログラムを実施した。まず、地域内で調達可能な食材の選定を行い、次にその食材を調理する人材育成のために一流料理人を招いた地域料理人対象の料理セミナーを開催。同時に料理人のチャレンジを促すためのフードカーの開発、披露するための食イベントの開催、市内外、国外へのPRを実施した。次年度は更に、地域料理人の腕試しの場として料理グランプリを開催する予定である。数値的な目標に関しては、観光入込客数がわずか目標に到達できなかったものの、宿泊客数は平成26年比125,5%、KPI比120.5%、観光消費額は、平成25年比117.7%、KPI比107.1%となり大幅に増加した。各観光指数の増加には、様々な要因が重なった可能性も充分に考えられるが、今後この増加する観光客をリピーターとして掴むための魅力向上に、本事業は時間をかけながら真価を発揮していくこととなるだろう。

宿泊客数

31,2000人(平成26年実績)→32,5000人(平成28年目標)→39,1600人(28年実績「全体」)

観光消費額

141億円(平成25年実績)→155億円(平成28年目標)→166億円(平成28年実績)